霧島市にあるFRIさんの別荘に点検に伺った際、2Fのベランダドア下部の額縁材が腐食している箇所についてご相談を受けました。

ドアの下部をよくみると、額縁材が水の侵食を受けて腐食し、剥がれてしまっています

外側の額縁材も同様です。過去にコーキング処置をした形跡あり。

下端の部材については完全にはずれてしまっており、ずっと室内にポツンと置かれていました。
ひさしぶりに外にだして写真を撮ります。


都城の建具屋さんにご相談されたこともあるそうですが、海外製建具であることもあり、なかなかきちんとした対応が難しいとの見解だったとのこと。
また建物本体のサッシ側への水の侵入は無いことから、しばらくこのまま使われているようです。
ガラスを支えている芯材が大丈夫であれば、はずれかかっている額縁材だけ新調して取り付けるだけで済みそうですが、芯材まで浸食されビスも効かないような状態の場合は額縁材を新調しても固定できないため、ガラスや金具だけ流用してドア全体を作り直さないといけなさそうです。
そこで、額縁材の内側にある芯材の状態を確認するため、日を改めて額縁材を外してみることにしました。
後日、小さいバールを差し込んでちょっとこじると、簡単に額縁材が外れました。

中からは発泡スチロールが出てきました。

ヒンジ側も黒く変色しています。

室内側の額縁材も同様にはずします。

芯材部分は黒く変色していますが、指でさわってもボロボロと崩れる感じではありません。

ドアの側面からみると、ストッパー用の金具が下端まで嵌め込まれています。

もはや役目を果たしていない発泡スチロールもはずします。

外側と内側の額縁材、元々外れていた部材、そして発泡スチロールを持って建具屋さんと作戦会議です。

相談するのは、高原町にある井ノ上工房さん。
過去に宮崎市のミニログハウスにて破損した小窓もがっちり修理していただきました。

持ち帰った部材と芯材部分の写真をふたりで見ながら、まずはもともとの構造を分析します。

おそらく、ドア下部に取り付けた発泡スチロールの外側をホッチキスのようなものを使ってベニヤで押さえ、その外側を内外の額縁材と下部の部材で挟み込むような構造だったようです。
次に、どう修復するのが一番リーズナブルかを話し合いました。
発泡スチロールを囲っていた芯材は黒く変色していますが、なんとかビスは効くだろうという判断のもと、以下のような案で行くことにします。
- 発泡スチロールは戻さず、代わりに角材をはめ込む。
- 新たにはめ込んだ角材はガラスに接触しない長さのビスで上側(ガラス下)の芯材に固定。
- 固定した角材に、新調した額縁材をビスか隠しクギで固定する。
↓イメージ

さっそく井ノ上工房さんにて、腐食した部材の寸法をもとに新たな交換用部材を製作いただきました。
左が新しく製作した部材、右が腐食した部材です。


井ノ上工房のご主人と、施工手順を最終確認します。

まずは、ドア本体側の腐食した箇所の面をカッターなどで綺麗にしていきます。

発泡スチロールの代わりに用意した部材をはめこみ、

建具屋さんに予めざぐっていただいた穴を使い、下からビスで固定します。

一旦ドアの閉まりを確認し、なかなか良い感じです。

本当であれば、下10cmほど腐食している左右の縦の枠材も交換したいところですが、そこまで手を入れるとほとんどドア全体を新調することになるため、今回は見送ります。

固定した角材に、新たな額縁材を隠しクギで固定します。

室内側にも新しい額縁材を固定。

そして、外側の要所にコーキングをしていきます。

たっぷり目にコーキングしました。


室内側はコーキングしません。


これにて修復完了です。
今回も井ノ上工房さんの技術と知恵を存分に発揮していただいたお陰で、別荘のご主人もずっと気にされていたベランダドアの腐食部分を修復することができました。