ログハウスとは単なる丸太小屋ではありません。
過酷な自然環境の中でゆっくりと育った木は目の詰まった優秀なログ材となり、構造的にみると、重さあたりのログ材の引っ張り強度は鉄材の約4倍、圧縮強度はコンクリートの約5倍といわれています。
そんな強い材料をふんだんに使ってつくるログハウスですが、自然木をふんだんに使うことで逆に注意しなければならない点もあり、快適な生活空間として長く維持できるのか?といった点は気になるところです。
ここでは、住む人が日頃から気をつけるべき点(ログハウスの収縮性と耐久性)と、突発的に発生する地震や火災に対するログハウスの特性(耐震性と難燃性)についてまとめます。
収縮性

木は生き物です。材種や乾燥具合によってはログのひび割れやねじれ、構法によってはログの乾燥や重量によるセトリングと言われるわずかな壁の沈み込みなど、建物にとって短所となりうる性質をいくつか持っています。
これらの性質に対しては、プランニングの段階から対策をとります。例えばひび割れ部分が極力室内側にくるようにログ材を割り付けることで雨の浸み込みを防いだり、住み始めてから生じた外側のひび割れにはコーキングを行ったりします。
またセトリングに対しては、木が収縮しても他と干渉しないよう、あらかじめセトリングスペースを確保する設計を行い、住み始めてからは建具の調整や通しボルトの締め付けなど、既存の対策を施していきます。
耐久性

自然木をふんだんに使用したログハウスでは、シロアリまたは雨によるログ材の腐朽に留意する必要があります。
シロアリ対策としては、原則ベタ基礎とすることで地面からの湿気を遮断します。
一方、これはログハウスに限ったことではありませんが、地面から土台までのアリの侵入経路を完全に遮断することはできませんので、床下の定期的な点検を行い、万が一の被害発生時に早期発見・対処することが肝要となります。そのために、一般住宅と比べて高さのある基礎設計を行うことで、床下の通気性と点検時の作業性を考慮したプランニングを行います。
またログ材そのものが外壁にもなるため、特に台風などの横なぐりの雨に対しては、3~5年ごとの外壁の再塗装を推奨しています。
このように、設計段階からきちんとケアしたログハウスはとても長持ちしますので、三世代にわたって快適に過ごせる資産価値の高い家となります。
ちなみに日本の校倉造りの代表である正倉院は築後1000年以上が経っており、海外では数百年の時を経たログハウスが数多くあります。カナダにある世界最大のログハウスは1930年に建築され、現在もホテルとして立派に使用されています。
耐震性

ログを横積みしたログハウスは、ログ同士がノッチと言われる刻み部分でがっちり結合しますので、躯体全体が非常に密に結合された堅牢な建物となります。
過去に発生した北海道南西沖地震では、奥尻島を襲った地震と大津波にも無傷で残ったログハウスが、住民の避難所として使われ、その強さを実証しました。阪神淡路大震災でも、ログハウスは全くといえるほど被害を受けなかったことが、日本ログハウス協会の調査で報告されています。
難燃性

焚き火をするとわかりますが、着火時はうすい木端や細い枝のように断面積が小さい木から火をつけていかないときちんと燃えません。ログ材のように太い木では仮に表面が燃えても、自ら炭化膜を形成して熱や酸素を遮断するので、木の内部までは燃焼しにくいというメカニズムがあります。
横積みのログハウスは「丸太組構法技術基準」にそって建築され、用途地域や防火地域によって規制を受けることがありますが、上述のような木の燃焼構造を明らかにする実験やその結果をもとにした研究開発によって規制緩和がすすみ、近年では広範囲でのログハウス建築が可能になってきました。